NHK朝ドラ「虎に翼」で伊藤沙莉さん演じる猪爪寅子の父親の直言(岡部たかし)が「共亜事件」で収賄で逮捕されます。「虎に翼」の父親の収賄「共亜事件」の逮捕は三淵嘉子【みぶちよしこ】さんの実話なのか?またモデルについて考察!帝人事件が元ネタ?
【虎に翼】父親が「共亜事件」で逮捕!収賄のネタバレとは?
猪爪家の玄関で集合写真!
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NHK連続テレビ小説「虎に翼」で父親が逮捕されてしまう「共亜事件」に関するネタバレをご紹介します。
知りたくない人は閲覧注意です。
父親が収賄で逮捕!?家宅捜査される
1935年。猪爪寅子(伊藤沙莉)が学校から帰宅すると、家の前に人だかりができていました。
いつもは気丈なはる(石田ゆり子)も怯えています。
そこにいたのは大勢の検察官たち。帝都銀行経理部第一課長の直言(岡部たかし)が、贈賄の容疑で拘留され、家宅捜査に来ていたのです。
寅子も抵抗しますが、検察官に怒鳴られ、恐怖で固まる寅子。
そこに優三(仲野太賀)が帰ってきました。いつになく凛々しい優三。
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自分はこの家の書生だと告げ、検察官たちを家の中に案内します。令状が出ている以上、捜査を拒否できないと知っていたからです。
検察官たちは書類などを押収し、帰っていきました。
夜になり、兄の直道(上川周作)と花江(森田望智)がやってきて、優三が説明を始めます。
「分かっているのは、お父さんが贈賄の容疑で逮捕された、ということだけです」
連行される前、直言は「心配しなくていい」と笑っていたこともわかりました。
直道も無実だからすぐに釈放される、と楽観的です。
ですがこの贈賄事件は、大汚職事件に発展し、世間から「共亜事件」と呼ばれるようになります。
汚職事件「共亜事件」の概要
◆共亜紡績の株価が高騰すると知っていて、不正に得た利益が政財界にバラまかれたとして、共亜紡績などの重役や、大蔵省の官僚、現役大臣など16人が逮捕。
◆これにより藤倉内閣は総辞職に追い込まれる。
◆逮捕から4か月後、逮捕された16人全員が裁判にかけられることにが決まる。
直言は帝都銀行で、株の取引き実務を行い、銀行の理事らと共謀して賄賂を贈った、という罪で連行されていました。
やつれた直言が帰宅しました。「とんでもないことをしてしまった」と土下座をします。
弁護を引き受けた穂高(小林薫)に対しても、自分がやったとしか言わない直言。
インタビュー記事を公開!
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最初に登場するシーンで、
見ている人の法曹界のイメージを
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父親は本当に収賄をした?無実?
寅子たちがあらゆる書類などから、矛盾点を直言に問いただすと、ようやく直言は自分の無実を認めました。
直言は取調室で高井理事に、自白をすればみんなが釈放される、家族にも辛い思いをさせずに済む、と脅されていたのです。
寅子がそのことを穂高に報告すると、穂高は無罪の主張を決意。
穂高は直言が高井理事から圧力をかけられていたことを、ほかの共亜事件被疑者の弁護士たちに伝えます。
穂高はこの事件に違和感を感じていました。仕組まれた事件であり、実際には株の不正操作や賄賂もなかったのでは?と考えていたのです。
寅子は取材にも積極的に答え、花岡(岩田剛典)らの助けの元、署名運動なども行います。
虎に翼花岡悟【岩田剛】のモデルは餓死が死因の衝撃の裁判官・山口良忠?
そんなとき、寅子が見知らぬ男性に襲われそうに!それを助けたのは記者の竹中(高橋努)でした。
帝都新聞の記者・竹中を演じる #高橋努 さん!
前室でオフショットをいただきましたカッコいい感じで…!とお願いしたところ、竹中のアイテムである帽子を使ってポーズを決めてくださいました#朝ドラ #虎に翼 pic.twitter.com/WSz1OLXe7d
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竹中は自分の推理を寅子に話します。
「内閣を総辞職させたかった、検察畑出身の貴族議員、水沼あたりが共亜事件を起こしたのだろう」
竹中にこれ以上首を突っ込むな、と言われた寅子は、あとは穂高たちに託すことにしました。
裁判の行方
1936年1月。第一回公判が始まりました。裁判長とともに入廷して来た判事のひとりが、桂場(松山ケンイチ)だったことに驚く寅子。
甘党な桂場(#松山ケンイチ)を発見
桂場がだいすきな、竹もとのお団子
みなさんもおひとつどうですか~?#朝ドラ #虎に翼 pic.twitter.com/VJIB9aE9Aw— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) April 5, 2024
裁判で否認した直言に対し、自白を盾に認めようとしない検察。
ですが高圧的な検察のやり方に、批判が集まるようになります。
100回を超える公判が結審。12月に全員無罪が言い渡されました。
「本件判決は、証拠不十分によるものではなく、犯罪の事実そのものが存在しない、と認めるものである。」
このときにこんな言葉が引用されました。
「あたかも水中に月影をすくいあげようとするかのごとし」
水面に浮かぶ月を、すくいあげるのと同じ、という意味で、でっち上げの事件、ということだと思います。
この判決から3日後、検察側は控訴を断念。みんなの無罪が確定しました。
穂高からこの判決文を書いたのは、桂場だと教えられた寅子。
桂場にお礼を言いに行くと、桂場はこう答えました。
「誰のためでもない。裁判官として当然のことをしただけだ」
以上が「共亜事件」に関するネタバレでした。
共亜紡績の株を不正に取引したとして、共亜紡績などの重役や、大蔵省の官僚、現役大臣など16人が逮捕。
直言は銀行員という立場で、株の取引き実務をおこない、賄賂を贈ったという罪状で逮捕されました。
およそ1年に渡り、100回もの公判がおこなわれ、出た判決は無罪。犯罪そのものがなかった、という判決でした。
さて、この「共亜事件」のモデルは「帝人事件」なのでしょうか?
汚職事件「共亜事件」のモデル元ネタは「帝人事件」?
「帝人事件」は1934年に起こった汚職事件です。
「帝人事件」とは?事件の概要
「虎に翼」では藤原内閣でしたが、実際にこの事件のときは齋藤内閣が総辞職しました。
今日は斎藤実内閣が帝人事件で総辞職した日
この斎藤実、体力に自信ありおじさんで徹夜で一升瓶のんでから明治天皇と蹴鞠したり、一週間オールしてもぴんぴんしてたぞ!
昨今の大学生も斎藤実レベルの体力に憧れちゃうぞ!#今日はなんの日政治編 pic.twitter.com/4BfM2nzoUv— もののふ@平成ヒビグラシ〜総理動画作成者 (@hayatezamurai) July 3, 2020
共亜紡績のモデルは帝国人造絹絲株式会社、通称「帝人」です。
帝人は商社だった鈴木商店の系列でしたが、1927年の恐慌により鈴木商店が倒産。
帝人の株式22万株は、台湾銀行の担保になりました。この台湾銀行をモデルにしたのが、直言が働く帝都銀行です。
業績が良かった帝人の株価は上がり、鈴木商店の大番頭だった金子直吉さんが、文部大臣の鳩山一郎氏や財界人グループに働きかけ、半分の11万株を買い戻します。
このあと帝人が増資したため、株価は大きく値上がりします。
1934年1月の時事新報で、帝人株をめぐる贈収賄疑惑が取り上げられました。
金子直吉さんや財界人たちの不正があったのでは?と報じたのです。
この記事が問題視され、世間を大いににぎわせました。
これにより帝人社長や台湾銀行頭取、大臣や財界人たち16人が起訴され、世間から大きな批判を浴びることに。
結局齋藤内閣は総辞職に追い込まれ、起訴された16人たちは200日も拘留されました。
判決
裁判が進むうち、一般的な株売買しか確認できず、賄賂に使われたとされる帝人株1300株は、事件が起こる前年から、金庫に入ったままだったことがわかります。
結局犯罪の痕跡が見つからず、1935年6月開廷されたとき、16人全員は無罪を主張。
1937年に全員無罪が確定。検察による強引な取り調べが厳しく批判されました。
この判決で「水中に月影を掬(きく)するが如し」という言葉が使われています。
「虎に翼」原作ではわかりやすく「あたかも水中に月影をすくいあげようとするかのごとし」となっていました。
このとき判決を起案したのは、のちに最高裁判所長官になる石田和外。桂場のモデルとされる人物です。
事件の黒幕
なぜこのようなでっち上げ事件が起こったのか?
黒幕は司法官僚出身で、当時枢密院副議長だった平沼騏一郎とされています。
平沼は内閣総理大臣のポストを狙っていましたが、平沼のファシズム的志向が嫌われ、推薦候補にすら上がりませんでした。
このことを恨んだ平沼が、総理大臣後継の推薦権を持ち、平沼を嫌っていた西園寺と、西園寺の支持政党に復讐したため、といわれています。
内閣総辞職になるきっかけを作った時事新報は、このころ朝日新聞の東京進出が噂されていて、焦りのため事実をきちんと調査せず、でっち上げ記事を書いたそうです。
ただ実際には平沼が、どこまで関与していたのかはわかっておらず、いろいろな不満分子や、様々な思惑を巻き込みながら、どんどん大きくなっていったようです。
無罪の決め手となったのは、検察が証拠品の検討を怠っていたこと。そのため検察は控訴できませんでした。
また、政界などと癒着する裁判官もいたそうですが、帝人事件の裁判官たちは独立を貫き、真実を追求したといいます。
罪のない16人が無罪となったのは、このような裁判官たちの影響も大きいのですね。
最初は数人の思惑から始まり、どんどんいろんな分子を巻き込みながら、結局内閣総辞職まで発展した帝人事件。
ここまで大きくならなくても、小さな足の引っ張り合いは、今の政界でもありそうですね。もっと国民の生活に目を向けてほしいものです。
汚職事件「共亜事件」のモデル元ネタは帝人事件なのか考察!
朝ドラ「虎に翼」で描かれる汚職事件「共亜事件」のモデルは、実際にあった「帝人事件」なのか、詳しく検証していきます。
似ているところ
事件の内容
ある企業の株が発端である、ということや、大臣や財政界を巻き込み、内閣総辞職となったところは同じです。
逮捕された人数
ドラマも史実も逮捕された人数は16人で同じでした。
判決文
判決文に「あたかも水中に月影をすくいあげようとするかのごとし」という内容の文面が入っている点も同じです。
裁判官
判決文を書いた裁判官は、ドラマでは桂場ですが、史実では桂場のモデルとされる石田和外でした。
強引な取り調べ
帝人事件では、検察による強引な取り調べが厳しく批判されました。このことはドラマでも描かれるようです。
水沼と平沼
ドラマ「虎に翼」では、記者の竹中が「検察畑出身の貴族議員、水沼あたりが起こした事件」と推測していました。
帝人事件でも黒幕とされた平沼は、検察官もしていて、貴族議員でした。まさに平沼をモデルにしていると思われます。
違うところ
年代
16人が逮捕され、内閣総辞職となったのは、ドラマでは1935年でしたが、史実では1934年です。
またドラマでは1936年1月に第1回公判が始まりましたが、史実では1935年6月でした。
無罪が確定したのはドラマでは1936年の12月。史実では1937年に確定しています。
このように、年代が少しずつ違っています。
共亜事件のモデルは帝人事件?
いろいろと比較してみましたが、共通点がとても多かったので、共亜事件の元ネタは帝人事件で間違いないと思います。
ただ違うところもあるので、完全なモデルではなく、帝人事件を参考にした出来事なのだと思います。
父親が収賄で逮捕は三淵嘉子の実話?
そして気になるのは、寅子のモデルとなっている三淵嘉子【みぶちよしこ】さんです。
三淵嘉子さんの父親が逮捕された?実話なのでしょうか?
『#虎に翼』解説①
「三淵嘉子と“男女平等”」#清永聡 解説委員が主人公のモデルで日本初の女性弁護士の1人、#三淵嘉子 さんとドラマのテーマの一つ、「男女平等」について解説します。⚖️https://t.co/sEE2rp4uNG
— 朝ドラ「虎に翼」公式 (@asadora_nhk) April 5, 2024
三淵嘉子さんの父親、武藤貞雄さんは、実際に台湾銀行にお勤めでした。
三淵嘉子の夫や息子や子供の家族まとめ!母親と父親と兄についても
ですが逮捕されてはいません。
武藤貞雄さんは海外勤務もされ、それなりのポストにいたと想像できますが、逮捕されたのは頭取クラス。
この事件にはほぼ関係なかったと思います。
ただ、このドラマを見てしまうと、三淵嘉子さんの父親が逮捕された!?と勘違いしてしまう人もいるかもしれないですね。
まとめ
NHK朝ドラ「虎に翼」で、これから寅子の父で銀行員の直言が、逮捕されることになります。
のちに内閣総辞職にまで発展する「共亜事件」で、大蔵省の官僚や現役大臣など、16人が逮捕された大事件です。
この「共亜事件」のモデルは、1934年に起こった「帝人事件」だと思います。
事件の内容もよく似ていますし、逮捕された人数も16人で同じ。全員無罪という点も同じでした。
ただ年代が1年違うのと、寅子のモデル、三淵嘉子さんの父親は事件に関与した、台湾銀行にお勤めではありましたが逮捕されていません。
台湾銀行にお勤めだったので、世間から白い目で見られたり、あるいは任意の事情聴取などがあった可能性はあるので、武藤家にも何かしらの影響はあったのかもしれません。
「虎に翼」では、ヒロイン寅子がこの事件で、家に記者が押しかけたり、父親の無罪のために奔走します。
ですが三淵嘉子さんご自身とは、それほど関連はなかったと思われます。
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